物品管理とは、企業などの組織において、保有する物品の「所在」「状態」「使用状況」などをデータベース化し、より効率的かつ安全に利用できるようにするための管理体系のことです。
本記事では、なぜ物品管理が必要なのか、具体的な管理の方法、効率化する方法、役に立つツールなどについて解説します。
目次
物品管理とは?

物品管理とは、企業や官公庁などの組織において、保有する個々の物品の「所在」や「状態」、「利用状況」などを正確に把握し、より効果的に利用するための一連の管理体系のことです。
なぜ物品管理が必要なのか?

組織が物品管理を必要とする理由は、上記4つに分けることができます。
1. セキュリティ強化
どんな組織であっても、万が一、逸失したり、外部に流出したりした場合、自組織や第三者に損害を与える可能性のある物品や情報を扱っているものです。たとえば、オフィスや倉庫の鍵、人体に有害な薬剤、顧客情報、金融取引の情報、ログインID・パスワード、などが挙げられます。
こうした物品や情報は、いち従業員が誰にも気づかれずに持ち出したり、勝手に廃棄や消去したりできる状態にあると非常に危険です。万が一、外部に流出してしまった場合、誰かの生命・財産に損害を与えたり、社会の秩序を乱してしまう可能性があります。
物品管理は、こうした事態を引き起こさないために必要となります。逸失や外部流出を避けるべき物品・情報を、見たり触ったり動かしたりする際は、所定の方法で承認を得たり、記録に残したりした上で取り扱うよう体制を整えなければなりません。
2. 業務効率化
どんな組織であっても、業務を遂行する過程で、さまざまな設備や装置、機器、道具などの物品を使っているはずです。「何の物品が」「いつ」「どこに」「どんな状態で」置かれているか、「いつ」「どこで」「誰に」使用されているか(される予定か)といった情報が、適切に集約・共有されていない場合、業務効率は著しく低下します。
たとえば、必要な機器が見つからずあちこち探し回らなければならなかったり、他の社員が使用中だったせいで予定通り使えなかったり、設備がメンテナンスに入っていることを把握しておらずスケジュールを変更せねばならなくなったり、といったシチュエーションが懸念されます。
物品管理は、こうした非効率を避け、従業員の円滑な業務遂行を担保するために必要となります。
3. 節税・経費削減
物品管理が適切に実施されていない場合、「いつ」「誰が」「何を」「いくつ」購入したか、それが実際どのように使用されているかが不透明になります。こうした状況下では、「誰も使っていない物品がただ放置される」「壊れた物品が修理も廃棄もされず放置される」「経理担当が知らぬところで勝手に物品が廃棄される」といった事態が多発します。
これでは、活用されない物品が年々増えてしまいます。従業員が無責任に物品を購入すれば、本来なら必要ない経費が発生するようにもなるでしょう。経理担当者が物品の廃棄を把握できていなければ、本来なら必要ない税金を納めてしまっていることに気づけない可能性もあります。
物品管理は、こうした無駄・無秩序を無くし、不必要な経費・税金を削減するために必要となります。
4. コーポレート・ガバナンス強化
組織の資金を使ってどのような資産を取得し、それをどのように利用・運用しているか、といった情報は、経営陣みずから正確に把握し、責任を持って開示する必要があります。
ずさんな管理体制が放置されている組織では、これらの情報が不透明であったり、実態と乖離していたりすることがあります。こうした状況は、経営陣による組織の私物化を招き、横領や不正会計、利益供与などの温床となります。
そうしたリスクを組織として排除するためにも、物品管理は必要となります。
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物品管理はいつ始めるべき? 最適なタイミングはある?
「物品管理の仕組みが整っていない…。なんとかしなくては!」
そう考えている経営者や総務担当者も少なくないのではないでしょうか。実際、弊社のもとには、「資産物品管理の仕組みを整えたいのだけれど、どのタイミングで、どんな風に始めるのが良いですか?」といったお問い合わせが、とても頻繁に届いています。
結論から言うと、可能な限り早く体制整備に着手すべきです。
なぜなら、企業をはじめあらゆる組織は、基本的には日が経つにつれ成長し、従業員数や物品数は多くなっていくからです(もちろん、例外はありますが)。
できる限り組織が小さく、従業員数や物品数・拠点数が少ないうちに、物品管理の体制を整えておいた方が、効率が良い、ということです。実際、従業員数十人程度までの組織規模であれば、数時間程度で基本的な物品管理の仕組みを整えることができます。

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では、すでにある程度、組織が大きくなっている企業などの場合、どうすればよいでしょうか。
そうした組織の担当者に、私たちがよく案内しているのは、「オフィス移転」や「レイアウト変更」のタイミングを利用する、という方法です。
以下のグラフをご覧ください。

このグラフは、私たちが開催している物品管理セミナーでのアンケート結果です。実に96%の人が、オフィス移転のタイミングで、移転先に持っていく物品を整理する、と回答しています。
移転においては、
- どの物品をどの部屋に持っていくか
- 処分すべき不要な物品はあるか
などの観点で物品を仕分ける必要があります。そこで、この仕分けのタイミングで、物品管理台帳の作成と管理ラベルの貼付を行ってしまうのです。
この方法は、各部門の現場社員から協力を得やすく、一挙に台帳の基礎部分を整備することができるので、非常に効率的です。
はじめての物品管理の方法。物品管理の始め方は?

次に、実際に物品管理の仕組みを整える際の手順について紹介します。通常業務の空き時間でできる作業量ではないので、あらかじめ作業時間を確保した上で始めるようにしましょう。
基本的には、以下の手順で必要なアイテムやルールを揃えていく形になります。
物品管理を始める際の作業手順
- 物品の現状把握を行う
- 使用シーン別に分類する
- 物品管理台帳を作成する
- 物品管理ラベルを作成・貼付する
- 管理ルールを作る
各工程の具体的な作業方法については、下記記事で詳しく解説しています。参考にしてみてください。
どの物品を管理対象にすべき? 管理対象の決め方3パターン

最初から、組織内にある物品すべてに対し「台帳への登録」、「ラベルの貼付」、「棚卸し」を実施することが理想ですが、実際には膨大な時間や労力がかかってしまうため、最後までやりきれないケースは意外と多くあります。
そのため、皆さんが物品管理を行う際には、ぜひ「管理対象を絞って」段階的にスタートするようにしてみてください。
ここでは、物品管理スタート時の管理対象の絞り方、範囲の決め方のポイントを紹介します。
1. 固定資産を対象として管理
固定資産の場合、台帳と現物が乖離していると監査などで指摘される可能性があります。そこで、管理対象を固定資産現物に絞り、資産管理の効率・精度アップを図る方法があります。
この場合、作成する物品管理台帳は、固定資産の現物管理台帳としての役割を持たせることになります。
固定資産台帳の情報をベースにしつつ、固定資産台帳では一式計上されている物品について、物品個別に管理できるように枝番を振るなどして、物品台帳を作成していくことがポイントです。
他にも、物品管理台帳には、
- 物品が設置、保管されている場所の情報
- メンテナンス、修繕の記録、コンディションなどの情報
- 現物の写真
などを記載しておくことで、より厳密な資産管理ができるようになります。

2. IT機器を対象として管理
IT機器は社外に持ち出される機会も多く、情報セキュリティの面からも厳密な管理が求められる物品です。そのため、まずはIT機器を管理対象として管理をスタートさせていくという方法もあります。
ネットワークに接続されていない物品も含め、台帳に漏れなく記載するようにしましょう。IT機器の保証書や説明書などの付属情報も台帳に載せておくと、管理が楽になります。
3. 移動/持出しの頻度が高い物品を対象として管理
移動や持出しの頻度が高い物品を管理対象とする方法です。移動や持出しが多ければ多いほど、紛失や外部流出の可能性は高くなり、利用状況の把握も難しくなります。
そういった物品を把握・管理するために、移動や持出しの多い物品から台帳への登録、ラベル貼付を行うと良いでしょう。また台帳に登録する際には「持出し先」や「返却予定日」などの情報も追加しておくと安心です。

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物品管理をもっと効率化する方法とは?
なんとなく物品管理の体制はできているものの、「運用フローが煩雑」「管理に多くの時間・人員がかかっている」という組織は少なくないのではないでしょうか。
ここからは、物品管理を効率化するアイデアや方法について、具体例を交えて紹介していきます。
①位置情報の管理で物品管理を効率化
物品管理を効率化する方法の1つに、 台帳に物品の位置情報を記録することが挙げられます。
物品の置き場や保管場所を正確に把握できれば、物品を使用するときにあちこち探し回る必要がなくなります。棚卸し作業にかかる時間も短くすることができるでしょう。
CASE 1:テキストで位置情報を記録
もっともスタンダードな記録方法は、テキストで入力するやり方です。
ポイントは、位置情報を階層化して記録できるよう入力列を設けること。たとえば、次のような形です。
- 「建物名」「フロア」「部門・部署」(3階層)
- 「建物名」「フロア」(2階層)
- 「建物名」「フロア」「エリア」「部門・部署」「部屋名」(5階層)
エクセルなど表計算ツールを使って台帳を作成する場合は、リストから選択して入力できるよう「データの入力規則」を設定しておくとよいでしょう。
CASE 2:位置を示した画像・PDFファイルを紐づけて管理
固定されていて動かないもの――たとえば、「建物付属設備」や「構築物」、据え付け型の「機械装置」など――の位置情報を管理する場合には、オフィスのレイアウト図面上に物品の「保管場所」を示した画像ファイルやPDFファイルを作成し、添付ファイルとして物品情報に紐づけて管理する、という方法も有効です。
特に、「部門・部署名」「部屋名」などを明確に分けることができないオープンフロアオフィス(壁や間仕切りのないオフィス)を採用している場合や、管理ラベルを直接貼付できない物品を管理したい場合などに最適です。
ある程度の「位置」が把握できれば良いので、添付する図面のサイズや解像度は小さいもので問題ありません。
CASE 3:アドレスを振って細かく管理
比較的小さな物品を大量に管理する必要がある組織におすすめなのが、アドレスで管理する方法です。
あらかじめオフィス内のデスクや収納庫に細かくID・番号を振っておき、そのID・番号を物品の位置情報として台帳に記録していきます。物品情報の登録時にオフィス内を細かく調査する必要があり、最初にかなりの労力を要しますが、一度作成してしまえば、その物品の「位置」がデスク単位、収納庫単位で手に取るように分かるので、必要な物品を取り出す時にかかる時間は格段に短縮することができます。
ポイントは、位置情報の更新サイクルを年1回程度に抑えること。
位置情報を細かく管理すればするほど、移動した際の情報更新に手間がかかってしまいます。そのため、物品の移動があった場合でも、その都度位置情報を更新することはせず、定期棚卸し作業時にまとめて更新する運用にしておくべきでしょう。
『期中の移動は一切気にせず、期末ごとの棚卸時に正確な「位置」情報を把握できればよい』という割り切った考え方ですが、それにより、物品の移動の申請や更新といった作業の手間が省け、メンテナンスの労力はかなり軽減されます。
②台帳に視覚的なデータを添付してさらに便利に
位置情報に次いで試してみてほしい効率化方法に、視覚情報の活用が挙げられます。
「管理番号で識別できれば十分なのでは?」と思う人も多いかもしれませんが、視覚的に認識できる情報を追加しておくことには、意外に多くのメリットがあります。
1. 画像で物品を識別(特定)することができる

名称だけでは区別がつかない物品の特定に役立ちます。また、棚卸しの際に写真を見ながら探すことができるので棚卸しのミスを減らすことができます。
2. 物品の状態(コンディション)を把握することができる
たとえば、年に1度の棚卸しの際に写真を撮って添付しておけば、物品の状態(コンディション)の変化が一目でわかるようになります。
3. 保証書や説明書、稟議書などを参照できる
紛失してしまいがちな保証書や説明書も、物品情報と一緒にデータで管理すれば必要な時にすぐに見ることができます。また、たとえば取引先に物品を預ける場合には「保管証明書」を発行してもらい、その文書を物品情報に添付しおく、という使い方もできます。
とはいえ、Excelなどで作成した台帳では、画像やPDFなどの添付は難しいかもしれません。必要に応じて、データファイルの添付が可能な物品管理システムなどの利用を検討してみるとよいでしょう。
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物品管理を効率化するConvi.BASE(コンビベース)とは?
物品管理は企業などの組織にとって欠かすことができない業務である一方、効率的な管理体制を整えるには相当の負担がかかるものです。
特に、 従業員数が100人を超える規模の組織ともなれば、管理担当者がやらねばならないことは膨大になり、体制構築の難易度は非常に高くなります。
そうした管理担当者の声を踏まえて、ネットレックスでは物品管理を効率化するクラウドシステム「Convi.BASE(コンビベース)」の開発を進めてきました。

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物品の保管場所や稼働状況を台帳上で管理できるほか、物品の特徴に応じて自由自在に必要な情報を登録して管理することができます。
加えて、たとえば、次のような運用が手軽に実現可能になります(一部オプション機能を含む)。
- スマホ/ハンディスキャナーによる棚卸し(スキャン&自動照合により90%の工数を削減)
- 物品検索(保管場所の検索、遊休品の検索 etc.)
- 履歴管理(物品情報の更新、移動の履歴 etc.)
- 貸出し/持ち出し・返却管理(貸出し・返却情報の記録・予約管理・メールアラート etc.)
- 物品の紛失対策(レーダー・アラート音による探索)
- 物品の入出庫管理
- 物品在庫数量の管理
- 物品情報と取扱説明書・保証書・稟議書などのファイルの紐付け
固定資産やリース品、IT資産、保証書やマニュアル・契約書などの文書、鍵や社員証などの小さな備品、消耗品、家具・什器、車両、在庫など、あらゆる物品を一元的に管理できるのも特徴です。管理システムの併用や重複管理による混乱を防ぐことができます。
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