本記事では、固定資産の棚卸しの目的と方法について解説します。
固定資産の棚卸しを効率化よく実施するための方法をまとめたガイドブック(PDF)も用意しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
90%の企業が年1回以上! 担当者に大きな負担がかかる固定資産の棚卸し
固定資産管理において苦労している作業の一つに「棚卸し」があるという人は多いと思います。実際、いざやろうとすると、通常業務に加えて作業することになり、大きな負担になっているという意見をよく聞きます。決算前の時期になると「あぁ、今年も固定資産の棚卸しの時期が来た…」と憂鬱な気持ちになる人も多いのではないでしょうか。
Q)固定資産の棚卸しを年に何回実施していますか?
(2020年「固定資産の管理に関するアンケート調査」より)
弊社で実施しているアンケート調査によると、年1回以上固定資産の棚卸しを実施している企業は、90%以上に達するということが分かっています。
毎年1度は必ずやってくる固定資産の棚卸し作業ですが、そもそも何のために行うのでしょうか。
効率よく行うためには、どんな方法があるのでしょうか。
固定資産の棚卸しの目的は? 何のために行うの?
固定資産の棚卸しにはさまざまな目的がありますが、おもに次の3点を挙げることができます。
1. 固定資産台帳の正確性の維持・適正化
固定資産台帳の情報と実態が異なるということは、自社が保有している資産の状況を正確に把握できていないということになります。財務諸表における資産の表示も、実態にそぐわない状態になっている可能性が出てきます。
固定資産などの資産物品は、移動や移管、売却、廃棄など、日々状態・状況が変更されています。そうした情報を変更が生じるたびに、固定資産台帳に反映するのは運用上かなり難しく、正確性も担保できない可能性が高いです。
固定資産の棚卸しには、そうした資産物品の状態・状況を改めて記録し、その時点の固定資産台帳の正確性を担保する、という目的があります。そうすることで、財務諸表における資産の表示も実態に即した内容になります。
2. 正確な償却資産税の算出
償却資産税は、固定資産台帳の情報をもとに計算し納付しますが、台帳が実態と乖離していると、実態以上の税額を納めることになってしまう可能性があります。
固定資産の棚卸しには、資産物品の実態に合わせ、不要な資産を除却し、償却資産税を適正な額に圧縮するという目的があります。あるいは、資産を取得する時期や取得価額を調整することで、節税に活かすという使い方もできるでしょう。
3. セキュリティ・資産の保全
固定資産は「事業の用に供する」ことを前提とした財産であり、滅失や盗難といった事件・事故を防ぐ必要があります。
固定資産の棚卸しには、こうした事件・事故を抑止するという目的があります。まんがいち事件・事故が発生した場合も、追跡調査がしやすくなるので、責任の所在を明確にしたり、再発防止策を立てたりすることに役立ちます。
このほかにも、固定資産を利用している現場のメリットも挙げられますね。
たとえば、次のようなものです。
- 買い替え時期を予定し予算算出の根拠とする
- 管理部門の業務効率化・労働環境の改善
- 管理意識の向上
固定資産の棚卸しの方法 効率的に実施するには?
では、固定資産の棚卸しはどのような方法で実施すればよいのでしょうか。
固定資産の棚卸し業務は、大きく次の3段階に分けることができます。
順に解説していきます。
1. 事前準備
固定資産の棚卸し、というと、現物確認のイメージが強いかもしれません。しかし、効率よく実施するには、事前準備が非常に重要になります。
事前準備で行うのは、現物確認を効率よく実施するための段取りやルールをつくり、共有することです。
具体的には、次のことを行います。
棚卸しマニュアルの作成・共有
棚卸しの作業手順をまとめたマニュアルを作成します。
ポイントは、「こんな場合はこういう対処をする」というように、現物確認中に遭遇する状況によって、どのような対応を行うかを明確に記載することです。
たとえば、「管理ラベルが見当たらない」「あるはずの場所にない」「管理ラベルの印字がかすれていて読めない」などは現物確認中によく直面する事態だと思います。そういった事態に直面した場合に、「リストの『管理ラベル不明瞭』欄にチェックをつける」「対象の資産物品に付箋で目印をつける」など具体的な一次対応方法を記載します。
もちろん、「『管理ラベル不明瞭』欄にチェックのある物品のラベルをラベル再発行・再貼付する」など、最終的な対応方法についても忘れずに記載しておきましょう。
対象物品の抽出・リスト化対象物品リストの配布
実際の現物確認作業では、現場単位または特定の物品カテゴリ単位など確認対象を区切って実施していると思います。
すべての資産物品が記載された固定資産台帳を片手に現物確認作業を行うと、確認した資産物品が台帳のどこにあるか探す手間がかかってしまいます。それでは非効率なので、確認対象の資産物品だけを抽出しリスト化した上で、現物確認作業に入る必要があります。
ポイントは、可能な限りリストに資産現物の写真を表示すること。
名称や管理番号だけを頼りに確認対象の物品を探すのは非常に難易度が高く、時間がかかってしまいます。
視覚的に物品現物を判別できるよう、リストには資産現物の画像をつけておきましょう。
リストが完成したら現物確認作業者に配布してください。
2. 現物確認
現物確認作業は、資産現物が保管されている現場に行き、リストに記載されている情報と乖離がないか照合する作業です。
作業は大きく2段階に分かれます。
1次作業(1周目)
リストの上から順に、該当の資産現物と照合していきます。
資産現物が、リストに記載の情報と異なる状態にある場合は、マニュアルで定めた手順通りに対処するのですが、基本的に1次作業では具体的な対処は行いません。リストの該当欄にチェックをつけておき、次に進むようにしましょう。
たとえば、リストに載っている資産現物が見つからない場合、その場では探さず、「不明品」欄にチェックをつけて、次の物品の照合に進む、という流れです。
1次作業の段階で、「見あたらない物品を探す」などの具体的な対処に時間を費やしてしまうと、リスト未消化の状態で時間だけが経過してしまい、遅れの原因になるからです。1次作業では、リスト上の資産物品をとりあえず一通り確認してしまうことを目指してください。
2次作業(2周目)
1次作業の結果、何らかの対処が必要となった物品に対し、具体的な対処を行います。
たとえば、リストの「不明品」欄にチェックがついている物品であれば、「探し出す」「リストに保管場所の変更情報を加える」などの対処を行います。必要に応じて、所管部門の社員への聞き込み調査なども実施するとよいでしょう。このときの対処方法についても、棚卸しマニュアルに記載しておくと作業がスムーズになります。
現物確認を効率よく進めるポイントとしては、1次作業時に、特に問題なく照合が済んだ物品現物に目印を付けておくこと。
管理ラベルに目立つ色のシールを貼る、などがおすすめです。

数ある物品の中から1次作業で見つけられなかった物品を探し出すのは簡単ではなく、多くの企業がこの作業に膨大な時間を割いています。
照合済み物品に目印をつけておけば、ひと目で未照合の物品と判別できるようになり、不明品を探し出すスピードが早くなります。
3. 集計・反映
最後に、リスト上の変更内容にあわせて固定資産台帳を更新します。
固定資産管理台帳は、棚卸しの都度、どこがどう変更されたか分かるよう、履歴が残るように運用すると良いでしょう。
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固定資産管理 棚卸しの目的とは
他の会社はどうしてる?
棚卸し3つのステップ
棚卸しを始める前に
現物確認のポイント
おわりに
◆◆ さて、いかがでしたでしょうか。
棚卸しは確かに面倒な業務ですよね。しかし、棚卸しを避けて通ることはできないのが実情です。
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