企業にはパソコン、サーバー、プリンター、スマートフォンなどのIT機器があり、多種多様なこれらの機器を効率よく管理するにはシステム化が欠かせません。
情報機器はコーポレート・ガバナンスや情報セキュリティ・ガバナンスの一環として厳格に管理することが求められます。本記事ではIT機器管理の基礎知識をわかりやすく解説したうえで、特に物品管理の方法にフォーカスしてご紹介します。
目次
IT機器管理(情報機器管理)とは?
社内で保有しているPCやサーバー、プリンターといったIT機器の保管場所や利用状況を把握・記録する一連の活動のことを「IT機器管理」と呼びます。
情報セキュリティ上、IT機器の保管には細心の注意を要します。また近年は、業務効率化の観点から情報機器管理を強化している企業もあります。
「IT機器管理」と「IT資産管理」の違い
IT機器管理 | IT資産管理 | |
---|---|---|
管理対象 | ソフトウェアなどの無形資産を含まない | ソフトウェアなどの無形資産を含む |
管理方法 | ■機器に管理ラベルを貼付 ■管理台帳で情報を記録 | ■機器に管理用ソフトウェアをインストール ■ネットワーク経由でモニタリング・遠隔操作 |
「IT資産管理」では、パソコンやサーバー、プリンター、スキャナー、ネットワーク機器の類に限らず、機器にインストールされているソフトウェアや保存されているデータファイルなども含めて、IT資産としてまとめて管理します。
ソフトウェアやデータなどの無形資産の管理にはネットワークを通じたモニタリングや管理用のソフトウェアを使った遠隔操作が求められます。そのため比較的大掛かりな管理手法を採ることになります。
一方「IT機器管理」は、有形資産であるIT機器のみを管理対象とします。管理ラベルと管理台帳を用いた物理的な履歴管理が中心となるため、大掛かりな管理までは不必要である企業は「IT機器管理」からはじめるとよいでしょう。
⇒ IT機器をらくらく管理!はじめての機器管理におすすめのシステムは?
なぜIT資産・IT機器は管理が必要なのか?
IT機器管理に取り組む目的、取り組むことで得られるメリットとして、下記4点を挙げることができます。
IT機器管理の4つのメリット
① 情報セキュリティ・漏洩リスク対策
② 物品管理の業務効率化
③ 有効活用による経費削減
④ 私物化・横領などの不正防止
実施目的① 情報セキュリティ・漏洩リスク対策
企業が保有するIT機器の多くは、機密情報など重要データが保存されています。重要データに誰もがアクセスできる状態になっていては危険です。
IT機器の利用状況や保管状況、持ち出し状況などを厳格に管理することで、企業の機密情報の外部流出や不正操作のリスクを下げることができます。
実施目的② 物品管理の業務効率化
コロナ禍に在宅勤務・テレワークが拡大した影響で、会社保有のIT機器を従業員が遠隔地に持ち出す機会が急増しています。IT機器の持ち出し状況やそのスケジュール管理のためにシステム化を推進する企業も多くなりました。
スペック情報や保管場所をシステム上で可視化することで、用途にあわせて最適なスペックの機器を検索したり、他の従業員の持ち出し状況を踏まえてスケジュールを組むなどの効率化が可能となります。
実施目的③ 有効活用による経費削減
IT機器の利用状況を可視化し、どのくらいの数量の機器が、いつ使われずに遊休品として置かれているかを明確にできると、物品の有効活用がしやすくなります。
余剰機器をくまなく配布することで、無駄な機器の購入を避けることができます。物品購入の最適化と同時に経費削減も叶うでしょう。
実施目的④ 私物化・横領などの不正防止
従業員による会社保有の機器の私物化や、機器の横領を防ぎましょう。
保管場所や利用状況を厳格管理すると、事業に関係のない私的な用途での利用や、会社が把握できない持ち出しが発生しにくくなり、不正防止に役立ちます。
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どのようにIT資産・IT機器を管理すればいい?
機器をはじめとするIT資産の現物管理は、「備品管理」や「固定資産管理」と呼ばれる他の管理手法と基本的には同じ手順で実施します。
- ①管理スタート編(IT機器管理のはじめかた)
- ②運用フェーズ編(IT機器管理の業務フロー)
上記ふたつのフェーズに分け、それぞれ管理方法の基本を順に解説します。
①IT機器管理のはじめかた【管理スタート編】
詳しくはこちらの記事に、具体的な作業手順や着手にあたり準備すべきものを解説しております。記事の内容をまとめると、IT機器管理をはじめるには以下の5つのステップを踏むことになるでしょう。
IT機器管理をはじめるための5つのステップ
- 社内すべてのIT機器の現状を把握する(拠点が複数ある場合、情報を一元管理する)
- 使用シーン別に機器のすべてを分類する
- 「IT機器管理台帳」を作成し、情報をまとめる
- 機器の現物にラベリングする(管理ラベルを発行し、機器にひとつずつ貼り付ける)
- 機器の管理ルールを策定し、社内に周知する
②IT機器管理の業務フロー【運用フェーズ編】
詳しい運用方法はこちらの記事に解説をまとめております。ご参考までに、管理スタート後に定期実施する作業には下記4種類があります。
運用に関する4つの業務パターン
- パターン① 新たにIT機器を購入するときの作業手順
- パターン② IT機器を故障・破損・紛失したときの作業手順
- パターン③ IT機器が不要になったときの作業手順
- パターン④ IT機器の定期棚卸(実査)作業手順
IT資産・機器管理はエクセルでもいい?ツールは必要?
管理システムが普及している現在も、エクセルなどの表計算ソフトで作成した管理台帳(管理表)を用いて、IT機器やソフトウェア・ライセンスを管理している企業は少なくありません。
そのような企業は、IT機器管理ツールを導入して、管理手法をシステム化したほうがいいのでしょうか。
IT機器管理ツールは必ずしもすべての組織に必要ではない
結論から言えば、企業の組織規模や事業内容により厳密には異なりますが、IT機器管理のシステム化はすべからくすべての企業に必要なものとは言えません。
IT機器管理システムの導入が必要ない企業の例
たとえばベンチャー企業やスタートアップなど、管理機器やソフトウェア・ライセンスの点数が100に満たない小規模事業者がツール導入した場合、得られるメリットは極めて限定されるでしょう。
システム化は、管理物品の点数がエクセルで管理できる量を超えた際に検討することをおすすめします。特別な事情がない限りは、手作業&手入力の管理台帳の運用で事足りるはずです。
IT機器管理システムを今すぐ導入すべき企業の例
- 管理すべきIT機器やソフトウェア・ライセンス数が100点以上存在する
- 高度な情報セキュリティ保護が求められる事業を行っている
- 複数の事業拠点にそれぞれIT機器が散在している
- 会社保有のIT機器をオフィスから持ち出して職務に従事する従業員がいる
- 上場準備中である
上記いずれかの条件にあてはまる組織は、管理ツールの導入を検討してよいでしょう。多くの場合、管理ツールの利用料金よりも、ツール導入によるコスト削減効果の方が大きくなるはずです。
IT機器管理の企業事例(閲覧無料)もぜひどうぞ。
知っておきたい管理ツールの選び方・比較方法
「IT資産」「IT機器」と呼ばれるものを管理する場合、ハードウェアとソフトウェアのどちらに管理の重心を置くかというポイントが第一の論点となります。
IT機器自体の管理が煩雑になっており物品管理にシステム化を必要としているのか、それともネットワークやデータの管理に困っており、ソフトウェア管理を求めているのか、まずは考えてみましょう。
管理ツールの種類
IT資産・IT機器に関する管理ツールを大別すると、上記2つの種類が挙げられます。
機器自体の管理、すなわちハードウェアの管理を重視する場合、管理ツールには資産物品管理システムが最有力候補となります。
一方、ネットワークやデータの管理、すなわちソフトウェアの管理を重視する場合、IT資産管理システムが最適なはずです。
ここからは、資産物品管理システムとIT資産管理システムの違いについて解説します。
資産物品管理システムとは?
Convi.BASE(コンビベース)をはじめとした「資産物品管理システム」では、IT機器のハードウェアはもちろん、ソフトウェア・ライセンスや各種操作マニュアル、保証書などの文書類などもまとめて一元管理することができます。
そのほか、固定資産や備品・部品、オフィス什器、鍵や工具など、IT機器以外のあらゆる資産物品も同一システムで管理できるため、情報の一元化による業務効率化を期待できます。
機能①クラウド台帳による物品情報の一元管理
会社が保有するIT機器に関するすべての情報をデータベース化します。管理台帳はクラウド上で保管されるため、PCやスマホなどを用いていつでもどこでも閲覧・編集ができるようになります。
管理項目は自由に設定できる上に、画像やPDFなどのファイルを添付することもできるため、機器マニュアルや保証書などのオンライン管理もらくらく可能です。
また、主体となる親台帳から子台帳をいくつも作ることができます。
たとえば第一階層に「すべての資産物品」台帳、第二階層に「IT機器」「備品」「家具・什器」のそれぞれの台帳、第三階層に「取扱説明書」「インストール済ソフトウェア」台帳……といったように、組織の実情に合わせて台帳を柔軟に作り分けて管理することが可能です。
IT資産管理システムとの違い
後述するIT資産管理システムは、管理ネットワークに接続しているIT機器についてのみ台帳作成される仕組みが一般的です。
一方、Convi.BASE(コンビベース)をはじめとした資産物品管理システムでは、ネットワークに接続していない遊休品の機器なども含め、組織が保有しているすべての機器情報を台帳管理できる仕組みとなっています。データのインポート・エクスポート機能も充実しておりAPI提供もできるので、外部システムとの情報連携もらくらくです。
機能②スキャン対応ラベルによる自動照合
資産物品管理システムは、システムを選んで物品のデータを登録すれば完了、というものではありません。現物管理するため、物品ひとつひとつにシールを出力して貼り付ける作業などが発生します。
自動認識技術を採用しているConvi.BASE(コンビベース)では、台帳画面から物品管理用のラベルを発行することができます。この管理ラベルを専用のハンディターミナルまたはスマートフォンアプリを用いてスキャンをすることで、情報の参照・編集が可能になります。
管理ラベルの発行は簡単で、一括で出力可能です。バーコードやQRコードだけでなく、ICタグなど組織のニーズに応じた形態のラベルを利用することもできます。
⇒ 作業時間が1/10に!スマホをシールに「かざすだけ」で現物管理できるアプリとは?
スキャンするだけ!らくらく実地棚卸(実査)とは?
棚卸し(実地棚卸)作業も、IT機器に貼付した管理ラベルに対し、スマホやハンディスキャナーをかざしてスキャンするだけで完了です。自動的に台帳情報と照合・情報更新できます。
手作業&手入力の方法で実施する昔ながら棚卸しと比較すると、最大約1/10程度まで作業時間を削減できるでしょう。スキャンするだけで目視確認もほとんど自動化するため、ヒューマンエラーは0になります。
機能③貸出し(持ち出し)・返却のリアルタイム管理
物品に貼り付けた管理ラベルをスキャンするだけで、「いつ」「誰が」「どのIT機器を」貸出し(持ち出し)・返却したか、などの物品に関するすべての情報を閲覧・編集することができます。
貸出し(予約)状況はガントチャート表示にも対応しており、スケジューリングに便利です。貸出し予約機能もあるので、台帳で必要機器を検索し、空き状況を確認して貸出し予約しておく、といった使い方もできます。
また、返却期限に応じた督促メールを自動送信機能は、返却忘れ防止に役立つはずです。
機能⑤検索・詳細情報参照機能
クラウド台帳から、機器の名称やスペック、管理部門などでソートすることで、要件を満たす機器を効率的に探し出すことができます。
反対に、機器の管理ラベルをスキャンすることで、スペックや過去の利用履歴、取扱説明書・操作マニュアルなど、台帳に登録されている情報を参照する、といった使い方も可能です。
機能⑥履歴管理・アカウント管理
アカウント単位で閲覧権限や編集権限をコントロールすることができるので、全社員がアクセスできる状態にすべきでない機器がある場合に活用することができます。
アクセス履歴や更新履歴もすべて記録されているので、いつ誰がアクセスし、編集を行ったか調べることができます。
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IT資産管理システムとは?
一般的に「IT資産管理システム」と呼ばれるものには、次の5つの基本機能を備えていることが多いでしょう。
1. IT資産のインベントリ収集
管理対象のネットワークに接続されている機器の台帳を作成することができます。不明な機器を検出した場合に管理者にアラートを上げるなどの機能を持つ製品もあります。
2. ネットワークのモニタリング
管理対象のネットワークをモニタリングし、接続されているすべて機器の稼働状態を一元管理することができます。稼働していない機器の確認やインストールされているソフトウェアの情報なども把握できます。
3. ファイル配布
セキュリティ対策として管理対象の機器にウィルス対策ソフトなどを一斉配布したり、OSやソフトウェアのアップデートやインストールを一斉に行うことができます。
4. ソフトウェア・ライセンス管理
インストールされているソフトウェアの情報を収集・一覧を作成。業務上不要なソフトウェアがインストールされた場合、メールでアラートを発信する機能も備えています。
5. リモートコントロール
IT機器を遠隔操作します。OSのアップデート作業を一括で行い、機器を安全な状態に保つことができます。
⇒ IT機器をらくらく一元管理!物品管理ツールConvi.BASE(コンビベース)とは?
両方のツールを使って管理する際のポイント
もっとも手堅い管理方法は、資産物品管理ツールとIT資産管理ツールの両方を使って管理する方法です。しかし、この方法は一歩間違えると二重管理・重複管理により現場の混乱を招く可能性があります。
両方のツールを使って管理を行う際には、両者で扱うデータを連携させることがポイントです。
たとえば、Convi.BASE(コンビベース)の場合、管理項目をユーザー側で自由に設定可能、かつ、データのインポート・エクスポートやPublic APIによるデータのやり取りに対応しています。
IT資産管理ツールが自動収集した端末情報を流用して台帳を作成したり更新したりすることができるので、二重管理・重複管理を避けて管理することができます。
2つのツールを使って管理しようと考えている企業は、
- 台帳の管理項目をユーザー側で自由に設定できるかどうか
- 台帳データのインポート・エクスポートができるかどうか
- APIを提供しているかどうか
といった点を踏まえてツール選択をするようにしましょう。
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