キャビネット、サーバールーム、金庫、社用車、倉庫など、一般的なオフィスには多種多様な鍵が存在します。
これが「不動産物件」や「リース車両」を運用している企業になると、さらに膨大な点数の鍵を日常的に管理することになります。
これらの鍵を正確かつ安全に保管しつつ、効率よく管理するにはどのような手法をとるとよいでしょうか。本記事では、鍵の基本的な管理方法からはじめ、管理を効率化するコツや、鍵管理システムの機能や導入事例をご紹介します。
目次
鍵管理でよく発生する問題点

一般的に取り扱われる鍵は、種類が豊富で軽くて小さいことから、管理が煩雑になりやすい貴重品の代表格と言われます。
しかし、いまだにアナログな手法で管理している企業は少なくありません。管理精度の改善に頭を悩ませている担当者も多いはず。
- だれが、いつ、どこに持ち出しているのか把握できない
- 鍵の棚卸し(現物確認)に時間がかかる
- 管理表への記入漏れ・記入ミスが発生している
- 鍵の細心情報を複数拠点間で共有できていない
などの課題はありませんか?
鍵管理は、管理工程が複雑化しやすいという特徴があります。他方で貴重品ですから、紛失などのミスは許されません。管理担当の負担は大きくなりがちです。
鍵の管理方法の基本を解説 〜体制構築〜

会社の鍵を、正確・安全・効率よく管理するにはどのような体制を構築したらよいでしょうか。はじめに3つの基本ポイントを解説します。
鍵の管理を「正確に」「安全に」「効率よく」実行する3つのポイント
1. 鍵管理台帳・鍵管理表とは?

鍵管理台帳・鍵管理表とは、鍵の基本情報についてまとめた一覧表のことです。鍵の種類、対象、点数、保管場所などを記します。
かならず鍵(物品)と紐付けて、管理台帳上で情報を管理しましょう。鍵ごとに管理番号を付与し、番号単位で基本情報を記録していくスタイルが一般的です。管理番号は、鍵を識別するために使用し、鍵本体にもラベルを貼ってわかりやすく管理します。
鍵管理台帳の作成方法
Excelなどの表計算ソフトを用いて手作業&手入力で作成することもできますし、鍵管理システムや物品管理システムを導入して利用するのもよいでしょう。
Excelなどで自作する場合、だれでも閲覧・更新がしやすいよう、共有サーバーなどに保存して使用することをおすすめします。
2. 鍵取扱規程・鍵取扱マニュアルとは?

鍵の取り扱いに関するルールや申請フローなどを明記したマニュアルを作成しましょう。マニュアルは、鍵の保管場所のすぐそばに掲示しておくと、持ち出しや返却の際に従業員の目に入りやすくなり、間違いが起こりにくくなります。

なお鍵管理システムを利用する場合には、面倒なマニュアルの作成や、全従業員に規定書を読ませて管理方法を強制する必要はありません。
鍵の持ち出し・返却などの申請管理は、スムーズにシステム上で自動化することができます。

たとえばExcelで作成した管理台帳を用いる場合、マニュアルを確認してから「持出し日時」「持出者」「使用場所」「返却予定日時」などの入力欄に、貸し借りのたびにルールに従って手作業で入力をする手間が生じます。
しかし、クラウド台帳を用いたシステムを使えば、現在、鍵がどこにあり、だれが使っていて、いつまでに返却されるのか、ガントチャートつきでわかりやすく、いつでもどこでも把握できるようになります。

3. 鍵管理担当者とは?

鍵管理担当者は、使用場所や部門などの単位で任命します。仮に、総務担当者がすべての鍵を一括して管理する場合、一点に管理作業が集中するため管理が属人化しやすく、さまざまなリスクが発生します。また、総務の管理負担が大きくなり過ぎるでしょう。
属人的な管理を避け、組織的・体系的な管理体制を構築するために、各部門に鍵管理担当者を別途任命しておくことをおすすめします。総務は管理体制のマネジメントに注力するほうが効果的です。
鍵取扱規程(マニュアル)を利用し、管理担当者が持つ管理上の責任と権限を明記しておきましょう。
鍵管理システムを導入したほうがよい組織とは?

管理点数がわずか数個ほどの組織の場合、前項で紹介した「台帳」「取扱規程」「管理担当者」の3点を整えるだけで、比較的安全で効率的な鍵管理を実現できます。
しかし、下記の条件の組織では、これまでに紹介した手作業による基本的な方法を用いると、逆に管理の難易度が高くなる恐れがあります。
- 組織規模・従業員規模が大きい
- 大量の点数の鍵を管理している
- 鍵の出し入れを頻繁に行っている
以下に具体的に解説します。
鍵管理に失敗する理由

まず「台帳」「取扱規程」「管理担当者」の3点セットによる鍵管理では、現場で鍵を取り扱うスタッフの作業負担を増加させることになります。
とくに鍵を頻繁に使用する環境の場合、この作業負担の増加は業務効率の低下に直結します。現場の賛同を得られにくいでしょうし、スタッフにあまりに過度な負担を強いると、スタッフの定着率や離職率に影響を及ぼすことも考えられます。
また「取扱規程」によって鍵取り扱い時の作業・承認の工程が複雑化するため、ルール違反やミスの発生が増えます。組織によっては、ミス防止のためのチェック作業、定期棚卸の実施頻度、鍵管理担当者のマネジメント工数などが続々と増えていく可能性も懸念されます。
鍵管理システムの導入メリットを得られる組織の条件

そんな組織において検討すべきが、鍵管理システムの導入です。
具体的な目安は以下のとおりです。いずれかに該当する場合、人的コストをかけて手作業で管理するよりも、システム導入のメリットのほうが大きくなる可能性があります。
- 管理すべき鍵点数が20点以上ある
- ほぼ毎日、鍵の出し入れ(持出し・返却)を行っている
反対に、こちらの条件のいずれにもあてはまらない組織においては、鍵管理システムの導入メリットは小さいと言えます。当面は基本の「台帳」「取扱規程」「管理担当者」による管理を徹底することから始めるべきと言えます。
鍵管理システムとは?

導入を検討するにあたり、はじめに以下の一覧表を確認し、サービス形態別の特徴(システム特有のメリットやデメリット)をおさえましょう。
製品によって形態も用途も多種多様であるという点を前提に、鍵管理システムの概要を理解することをおすすめします。
【サービス形態別】システムの種類や特徴
形態 | 特徴 |
保管庫型 | センサー類や通信モジュールを搭載した「鍵の保管庫」と履歴記録用の台帳システムが一体化した製品。保管庫から鍵を持出したり、返却したりすると、センサーが自動検知してシステム上に履歴を残すことができる。初期費用・維持コストやメンテナンス負担は大きい反面、セキュリティ面で充実している。 |
スマートロック型 | 扉の電子錠と電子錠を解錠するためのICカード情報を登録・管理する台帳システムから成る製品。社員証や学生証、交通系ICカード、スマートフォン搭載のICチップなどをシステムに登録し、権限を付与することで、タッチによる電子錠の解錠が可能になる。誰がいつ解錠したか、システム上に履歴を残すことができる。初期費用・維持コストやメンテナンス負担は大きく、解錠権限の付与・消去といった管理が柔軟にできる。 |
QRコード・ICタグ型 | 鍵に貼るQRコードやICタグ(RFID)と管理台帳で構成された製品。保管庫や電子錠などの設備を伴わないため、低コストでメンテナンス負担が小さい反面、セキュリティ性能は劣る。持出し(貸出し)・返却の管理に強みを持つものが多い。 |
【まとめ】鍵管理システムの代表的な3つの形態

「鍵管理システム」の名を冠して提供されている製品群について、代表的な3つの形態ごとに上記に特徴をまとめました。いずれも「鍵管理システム」と言えど、想定されている利用目的や実際の用途はほとんど異なります。
たとえば「保管庫型」は、おもに鍵の盗難や不正利用に対するセキュリティ強化を目的に開発されています。
一方で「スマートロック型」は、多くの人が共同で利用するスペースの解錠権限管理という用途が一般的です。
また「QRコード・ICタグ型」は、組織内における鍵の持ち出し・返却を管理する用途を想定して開発されています。
⇒ 低コストでらくらく鍵管理できる「QRコード・ICタグ型システム」について
鍵管理システムの選び方・比較方法(目的別)

企業内の鍵管理について、はじめに「スマートロック型」のシステムは、ごく限られた使用条件のため、今回の記事からは説明を省きます(基本的には「組織外の多数の人を交えてロック付きのスペースやロッカーを共有する」ことを目的にした製品です)。
ほか、「保管庫型」と「QRコード・ICタグ型」について、どのように比較して選べばよいか、鍵管理を実施する目的別に選び方を整理してみましょう。
①「盗難や不正利用の防止」が目的の場合

こちらでは「保管庫型」が最有力候補となります。
万が一、盗難や不正利用が起きた場合、会社が賠償可能な額を超える大損害を与え得る情報や設備、機器などを扱っている組織の場合、保管庫型の鍵管理システムを導入することをおすすめします。
保管庫型のシステムの導入や運用には多少コストがかさむ可能性がありますが、セキュリティ管理は経営上の重要なポイントになり得るため、強固な管理体制を構築するメリットが上回ります。
②「保管場所の確認、持ち出し・返却の状況把握、共有」が目的の場合

こちらのケースではConvi.BASE(コンビベース)をはじめとした「QRコード・ICタグ型」が有力候補となります。
組織内で、それぞれの鍵の所在や所持者をリアルタイムで知りたい場合や、貸し借りの管理をしたい場合には、専用のシステムがあると便利です。情報共有はもちろん、紛失時の捜索や組織内の対応などもスムーズになります。
また、多数の不動産物件を管理する不動産会社や、大量の車両を管理するレンタカー会社では、とくに導入効果が発揮されます。どの鍵をどのスタッフが何点持っていて、いつ、どこに返却されるか、といった情報をわかりやすく一元管理することが可能になります。

鍵管理システムの機能・使い方
形態・用途の豊富な鍵管理システムのうち、QRコードやICタグ(RFID)を用いてスマートフォンと連携しながら手軽に鍵管理できるConvi.BASE(コンビベース)を例にとり、具体的な機能や使い方を解説します。

まず基本的なConvi.BASE(コンビベース)の使い方ですが、鍵はもちろん、オフィスのあらゆる物品に管理ラベル(QRコードやICタグ)を貼り付けて利用します。情報を編集したいときや閲覧したいときには、スマートフォンやハンディスキャナーを管理ラベルにかざすだけで、情報を読み取ることができます。
具体例①持ち出し(貸し出し)・返却の管理

情報はすべて自動的にクラウド台帳と同期されるので、いつでもどんなデバイスからでもリアルタイムに鍵の所在や持出し・返却状況、棚卸し履歴などの情報を参照することができます。

- スマホでアプリを立ち上げ、ICタグ・QRコードを読み取るだけで「持出し(貸出し)」情報の登録が完了
- 持出し日(貸出し日)・返却日(返却予定日)・担当者を入力することも可能
- 事前に鍵の持出し(貸出し)予約を登録することもできる
- 持出し・返却予定(履歴)のガントチャート表示に対応
- 「返却期限を超過した場合」など自由に設定した条件に合わせてアラートメールの自動配信設定可能
具体例②スマホをかざすだけ!棚卸し作業の半自動化

- ICタグ・QRコードをスキャンするだけで棚卸し作業が完了
- スキャン後の照合作業や集計作業はすべてシステムで自動化できる
- 台帳の情報とスキャン結果に差異がある場合のみハイライト表示される

具体例③紛失時のレーダー探索
- 画面に表示されるレーダーで鍵の探索が可能(※ICタグのみ対応)
- 置き忘れ対策・紛失時の鍵探しにかかる時間を短縮

その他にも…
- ブラウザ&スマホで操作が完結。リモートでも管理できる
- 管理画面からボタン1つでQRコード/バーコード発行・印刷
- カスタマイズ自由&枚数追加可能なクラウド台帳
- 任意の条件でアラートメール送信
- アカウント単位でアクセス権限設定
- 誰が何の操作を行ったか全履歴を保存
- 「入出庫管理」「数量管理」もできる
など、鍵管理をラクにするさまざまな機能が揃っています。
鍵管理システムの企業導入事例
作業時間を98%削減【株式会社センデン】
従来は店舗あたり500~600個におよぶ鍵をすべてExcelで管理していた同社。Convi.BASE(コンビベース)の導入前には、店舗あたり3人✕3時間ほど棚卸し作業にかかっていました。
システム導入後には、1人✕10分までに作業時間が短縮し、約98%の業務効率化に成功しました。「鍵がどこにあるのか」「誰が持っているのか」などを管理画面で把握できるようになったことで、店舗間で鍵の所在を問い合わせるための電話のやり取りも激減しました。
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