みなさんの会社では、どのように契約書を管理していますか?
- サーバーに契約書保管用のフォルダを作り格納
- 紙の原本はファイリングして保管庫に保管
このような方法で管理している企業が多いのではないでしょうか。しかし、これだけで十分とは言えません。
契約書のデータベース化、閲覧権限の制御、更新期限や保存期限の管理など、契約書管理には最低限押さえなければならないポイントが多々あります。
本記事では、契約書管理の方法や押さえるべきポイント、ポイントを押さえていない場合に直面するリスク、管理を効率化するシステムなどについて解説します。
契約書管理台帳のエクセルテンプレートも無料ダウンロードできるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
契約書の管理が不十分… どんな問題が起きる?
最低限の契約書管理ができていない場合、どのような問題が起こるのでしょうか。具体例をもとに紹介しましょう。
①内部統制で指摘される
契約書管理に不十分なところがある場合、内部統制において、管理方法や契約書の記載内容が問題となることがあります。たとえば、誰もが自由に持ち出せる場所に契約書原本を保管している場合や、反社条項が盛り込まれていない契約書が混在している場合などです。特に上場を検討している企業の場合は、内部統制強化の過程で、これまでは指摘されなかったこれらのポイントが改めてチェックされる可能性があります。
②社員が意図せず契約違反する
契約書の共有が十分にできていない場合、契約内容がプロジェクトメンバーによく周知されないままプロジェクトが動き出してしまい、意図せず契約違反してしまうことがあります。たとえば、何らかの行為を行う場合に、相手方への事前告知が義務付けられているケース。メンバーが事前告知をしないまま進めてしまったとして、万が一、相手方に損害が出てしまった場合、損害賠償を請求されたり訴訟を起こされたりする可能性があります。
③トラブル時の対応が遅れる
社員間、部門間、事業部間、事業拠点間など、さまざまな組織をまたぐ共通の契約書データベースがない場合、取引先と何らかのトラブルが発生した場合の対応が遅れる原因になります。たとえば、取引先が皆さんの会社に不利益や損害を与える可能性のある行為をしていることが分かった場合、一刻も早く止めさせなければなりません。契約内容を踏まえ、何らかの措置を講じる必要があります。しかし、その契約書が法務担当者の手元に無ければ対応が遅れてしまいます。契約書がどこにあるか探し出し、法務担当者に送付して… などとやっている間に、取り返しのつかない大損害を被ってしまう可能性もあります。
④業務効率が下がる
契約書管理用の台帳や目録を作っていない場合、業務効率が大幅に低下してしまいます。たとえば、解約条件の確認、新たに作成する契約書の参考にする、などの目的のため契約書を一瞬閲覧したいだけなのに、目的の契約書がどこにあるか分からず、見つけるのに長い時間がかかってしまう、ということが起こります。
⑤機密情報が漏洩する
契約書データを保存しているサーバーや、紙の契約書原本を保管している部屋などに、承認なしに誰でも自由にアクセスできる状態になっている場合、情報漏洩や紛失事故を起こす可能性があります。たとえば、契約書に付随する添付資料にログインIDやパスワードなどの情報を記載している場合。万が一、不正アクセスにより契約書データが奪われれば、皆さんの会社と取引先、その他の関係各社に大損害を与えてしまう可能性があります。
契約書管理で満たすべき3つの基本事項
リスクや非効率を避け、効率よく安全に事業を推進するためには、最低限、次の3点の基本事項を満たすよう契約書管理を行う必要があります。
この3点さえ十分に管理できれば、契約書に起因する問題が起きる可能性をかなり下げることができます。それぞれ解説していきましょう。
1. 一元管理
一元管理とは、管理対象を一箇所に集約し、共通の仕組みや方法で管理することです。
情報化が進んだ現代においても、いまだに契約書の管理を部署単位、部門単位、事業部単位、拠点単位などで個別に実施している場合がありますが、非常に非効率かつハイリスクです。全社共通の契約書管理台帳や契約書管理規程を整えるようにしましょう。
押さえておくべきポイントは、「検索」と「閲覧」です。
一箇所に集約したとしても、探している契約書を素早く見つけられる状態になっていなければ、業務効率アップにはつながりません。契約書管理台帳を作成するなどして、さまざまな条件で検索できる仕組みを整える必要があります。
また、目的の契約書を見つけた後、そのままスムーズに閲覧できる状態にしておくことも重要です。いちいち紙の原本を保管庫に確認しに行くのでは、やはり業務効率アップにはつながらないでしょう。過去の契約書も含めてデータ化し、検索結果から直接内容を閲覧できる仕組みを整えましょう。
2. 期限管理
契約書管理において管理すべき期限には、「契約期限」と「保存期限」の2つがあります。
たとえば、契約期限においては、契約期限を過ぎると自動的に期限が更新されたり、所定の更新手続きをしなければ自動的に解約されてしまう条項が付けられていることが多くあります。解約(継続)手続きをするつもりでいたのに、手続きを忘れて期限が過ぎてしまえば、損失になります。期限が迫ったら自動で担当者にアラートを上げるような仕組みを整えるのが望ましいでしょう。
また、所定の保存期限が過ぎた契約書は廃棄していく仕組みを整えておかなければ、契約書は無限に増え続けてしまいます。定期的に棚卸しを実施し、保存期限を過ぎた契約書のデータや原本は削除・廃棄する業務フローを確立するようにしましょう。
3. アクセス制御
契約書は、全社員で共有すべきものばかりではありません。たとえば、労働契約書は閲覧できる人を社員単位で限定すべき契約書です。他にも、部門単位、事業部単位、役職単位、事業拠点単位などで、アクセス制御を行う必要のある契約書が存在するはずです。あらゆる組織単位、個人単位でアクセス制御を行える仕組みを整えておく必要があります。
また、契約書に特に厳重に管理すベき機密情報が記載されているような場合には、事前に目的を示して申請し、承認を得なければ閲覧権限を付与しないルールを設けるのが望ましいでしょう。
契約書の管理方法
ここからは、3つの基本事項を満たす契約書管理の仕組みの具体的な作り方について解説していきます。
基本的な流れは、次の通りです。
【契約書管理の方法】基本的な流れ
それぞれ具体的に解説していきましょう。
1. 管理責任者の決定
まずは、契約書管理を監督する部門と管理責任者を決めましょう。
管理責任者は、総務または法務などの担当者が務めることが多いです。管理業務に精通している人が望ましいでしょう。
2. 契約書管理台帳の作成
契約書管理台帳とは、契約書ごとに、契約相手や契約日、契約期間、原本保管場所、電子データファイルなどの情報をまとめたデータベースのようなものです。
自作する場合は、Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトを使用して作成されることが多いです。
設けるべき管理項目としては、次のようなものがあります。
①契約番号
各契約書に振るID番号です。各契約書を区別したり検索したりする際に役立ちます。
②契約名
契約書の題名です。「業務委託契約の締結」、「資材取引基本契約」、「監査契約各契約」など、契約書に明記されている題名を入力する欄になります。
③契約書種類
何に関する契約か、カテゴライズするための項目です。「売買」「総務」「知財」「労務」など、自社にあった分類方法を考えておくと整理しやすくなります。
④締結先名
契約を締結する相手方の名称を入力しておきます。
⑤担当者
契約を進めた担当者の名前を入力しておきます。万が一、その担当者が退職することになった場合に、契約書管理台帳をもとに契約の引き継ぎ作業ができるので役に立ちます。
⑥契約締結日
契約が締結した日を入力しておきます。
⑦自動更新有無
自動更新の有無を入力しておきます。
⑧契約開始日・契約終了日
契約開始日と終了日を入力しておきます。自動更新欄を参照し、契約更新や解約があった場合は随時書き換えておきます。
⑨契約解除通告期限
解約する場合の通告期限を入力します。期限が近づいている契約を素早く抽出し、担当者にメール送信ができるような体制を作っておきましょう。
⑩原本保管場所
原本の保管場所について入力しておきましょう。
管理されている場所を明記しておくことで、原本を参照する際や棚卸しで確認する際に探し出す手間を減らすことができます。
3. 契約書の棚卸し・台帳登録
次は、現在保管されている契約書の棚卸しを行います。
棚卸しでは、契約書の内容を1つずつ確認し、作成した台帳に入力していきます。この棚卸しの段階で、台帳にある全ての項目をチェック・入力するのが理想ですが、契約書の数が多い場合には時間がかかってしまい、現場に負担がかかってしまいます。そのような場合には、棚卸しを始める前に必要最低限チェックすべき項目を決めておき、その項目を優先的に確認・台帳へ入力するという方法が最適です。
必要な項目の情報入力が済んだら、いったん「棚卸し・台帳登録」の工程は終了です。
運用段階に入ったら、毎年1~2回、定期的に契約書の棚卸しをするようにしましょう。新たな契約書がどこにどれだけ保管されているか再確認する他、契約書の記載内容の確認、失効した契約書の仕分・廃棄などを行うためです。
4. 契約書管理規程の策定
契約書管理規程は、契約書のライフサイクルに沿って、関わる社員全員が守るべきルールとして作成します。
契約書のライフサイクルとは、下記のように、契約書が作成されてから消滅するまでのプロセスのことです。
以下で、各段階で定めるべきルールの一例を紹介していきます。
①発生
契約書を作成・収受(受け取り)した場合のルールを取り決めます。契約書はソフトウェアで作成される場合と紙で作成される場合がありますが、ここでは紙の契約書を想定したルールを紹介します。
- 件名・日付・作成者など、文書の記載事項
- 件名のつけ方
- 書式や文体
- 綴じ方
- 収受した際の置き場所や開封権限など
②伝達
発生した契約書を、回覧・配布する際のルールを盛り込みます。
- 契約書の承認ルート
- 承認済み契約書の処理ルール(押印など)
- 承認済み契約書の社外発信時の手段(メール、FAXなど)に関するルール
- パスワード設定など、発信手段ごとの注意事項
③保管
契約書の保管場所を定め、契約書管理の実施に向けたルール設定します。業務の中で頻繁に使われる文書や、利用される見込みの高い文書は必要な時にすぐに使える場所に保管すると業務効率が高まります。
④保存
法的に保存年限が決められている文書は、一定期間保存する必要があります。中には半永久的に保存しなければならないものも存在します。所定の期間、文書が保存されていないと、罰則が適用されることものもあるので、関連する法令等に留意して適切なルールを設定しましょう。
⑤廃棄
不要になった契約書の廃棄方法を策定します。所定の承認手順を設定して運び出した後、シュレッダーにかけて可燃ごみに出す、など情報漏洩を避け、安全に廃棄するための方法を確立しておきましょう。
契約書管理規程を策定する際のポイントは、ライフサイクルの段階ごとに業務フローやルールを定めておくこと。
すべての従業員が管理規程通りに運用できる内容になっていない場合、管理担当者の負担が大きくなります。解釈の違いが生まれないよう、明確で分かりやすい表記を心がけてください。
管理責任者は、規程通りに運用されているかチェックを行い、定期的に管理規程のブラッシュアップを行うようにしましょう。
契約書管理台帳(契約書管理表)エクセルテンプレート
本記事を読んでいただいた方に、契約書管理台帳のエクセルテンプレートを無料配布しています。
このテンプレートは、株式会社コンビベースが提供しているクラウドシステム「Convi.BASE(コンビベース)」から出力したCSVファイルをエクセル形式に変換したものです。
Convi.BASE(コンビベース)では、ブラウザから閲覧・編集できるクラウド台帳とスマホアプリにより、エクセルより効率的かつ手軽な契約書管理・文書管理が実現します。
契約書管理システムは必要? 管理システムでできることは?
ここまで契約書管理について解説してきましたが、現実的にここで紹介してきた方法で適切な管理体制を築くことができるのは、管理すべき契約書の数が数十点程度の小規模事業者が中心だと思います。
すでに数百点以上の契約書を抱えている規模の企業が、ここで紹介した方法で契約書管理の仕組みを構築するというのは現実的ではないでしょう。
そこで弊社では、管理点数が膨大な企業でも手軽に文書原本管理・契約書管理ができるクラウドシステム&アプリ「Convi.BASE(コンビベース)」を開発・提供しています。
Convi.BASE(コンビベース)には、先に紹介した3つの基本事項はもとより、契約書管理に役立つ機能が揃っています。
①ブラウザ&スマホから検索・閲覧・編集可能【クラウド契約書管理台帳】
Convi.BASE(コンビベース)では、ブラウザやスマホアプリから検索・閲覧・編集可能なクラウド台帳を採用しています。クラウド台帳には契約書管理台帳に記載するような「担当者」「原本保管場所」などの情報だけでなく、契約書のPDFファイルや画像ファイルを添付することもできます。契約書原本を探しに行くことなく、クラウド台帳上で「検索して閲覧」することができます。
②期限管理に最適【アラートメール機能】
指定した条件で任意のメールアドレスにアラートメールを自動配信させることができます。更新期限や保存期限が近づいたら、管理担当者にアラートメールを配信し、更新手続きや廃棄作業を促す、といった使い方が可能です。
③自在にアクセス制御【アクセス制限機能】【ログ管理機能】
メンバーごとに、利用できる機能や閲覧可能な契約書・文書を自由に割り振ることが可能。特定の権限パターンを「役割」として定型化し、「役割」に所属するメンバーを追加することで、部門、役職などさまざまなグルーピングで権限をコントロールすることができます。
また、編集履歴を記録できるので、「誰が」「いつ」「どの情報に」アクセス・変更を加えたかをチェックすることも可能です。
④バーコードやICタグで棚卸しを半自動化【契約書原本管理機能】
Convi.BASE(コンビベース)は、もともと固定資産などの社内資産を管理する物品管理システムとして開発がスタートしたクラウドサービスです。そのため、物理的な「モノ」の管理に強みがあり、契約書管理・文書管理においても、データとあわせて高度な原本管理ができるという特徴があります。
たとえば、契約書を収めたクリアファイルやバインダー、ダンボールなどに、管理画面から発行したバーコードを貼り付けることで、クラウド台帳と契約書原本を紐付けることができます。これにより、バーコードを読み取るだけで「廃棄すべき契約書」「保管庫に移動すべき契約書」などを特定できるようになるので、契約書のライフサイクル管理を劇的に効率化することができます。
どんな企業が使ってる? 管理システムの導入事例を紹介!
実際、どのような企業に、どのような目的で利用されているのでしょうか。Convi.BASE(コンビベース)の契約書・文書管理での利用事例をチェックしてみましょう。
個人情報を含む重要書類の廃棄管理作業が大幅に短縮(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
検定志願者の個人情報を含む膨大な量の重要書類を一つ一つ数えて廃棄するものを特定し、廃棄業者に渡すという管理フローから、Convi.BASE(コンビベース)の原本管理機能を使った管理に移行。箱に貼ったバーコードを読み取るだけで作業が完了するようになったので、作業担当者の負担が大きく軽減されました。
無料プレゼント・資料ダウンロード
コンビベースのすべての機能や、導入事例、導入効果を知りたい方向けに、ご案内資料を無料でお配りしております。
- 「自社と同じ業種・規模の事例を読みたい」
- 「デモンストレーションで使い方をもっと知りたい」
- 「想定している運用が可能かどうか知りたい」
- 「使用中のシステムとの連携可否をチェックしたい」
- 「今すぐ見積もってほしい」
任意の「ご質問・ご要望」欄に、例のようにご入力いただきましたら、担当者が必要な情報を収集しまして後日お知らせいたします。
ぜひお気軽に、物品管理のお悩み解決にご利用ください。