棚卸表とは、資産物品の実地棚卸を行う際に、その棚卸しの結果を記入する帳票のことをいいます。商品在庫や備品などが保管されている場所まで行き、現物現品の状態や数量を確認する作業に利用します。
本記事では、棚卸表とは何か、作成するときのポイントや注意点、すぐに使える定番テンプレートについて紹介します。
目次
棚卸表とは?
棚卸表とは、実地棚卸の結果を記載したリスト(目録)のことをいいます。
企業などの組織は、保有する資産の状況を正確に把握しなければなりません。そのため、定期的に実地棚卸を行い、帳簿に記録している資産と、実際の資産の在高が一致しているか確認する必要があります。
この実地棚卸のときに使う帳票が、棚卸表です。
実際に資産物品の現物を確認し、数量や状態などを記入することにより、保有する資産の状況を正確に把握するために使われます。
原則として、組織が資産を適切に管理する目的で自主的に作成するものですが、一部の資産科目においては、決算申告に必要となるほか、法令により保存期間が定められているものもあります。
棚卸資産の棚卸表とは?
棚卸表は、さまざまな資産物品の実地棚卸に用いられますが、もっともよく知られているのは棚卸資産の棚卸表です。
特に製造業や流通業の現場では、「棚卸表」といえば、この「棚卸資産の棚卸表」のことを指します。
ちなみに、棚卸資産とは、流通業における商品在庫、製造業における製品、仕掛品、原材料などの在庫のこと。
一方で、製造業や流通業の現場以外では、「棚卸表」の意味は文脈や使われるシーンによって微妙に異なります。
たとえば、会計や経理の現場では、棚卸資産と並んで固定資産の棚卸表が馴染み深いでしょう。あるいは、総務の担当者なら、消耗品や貯蔵品、備品、書籍、什器などの棚卸表を扱ったことがあるかもしれません。
不動産管理業やカーリース業であれば鍵の棚卸表、車両や機械の整備業なら工具の棚卸表… などなど、棚卸表は在庫管理以外にも幅広く用いられています。
棚卸表のリストの種類
ここからは、棚卸表の中でももっとも一般的な「在庫(棚卸資産)」「固定資産」「備品」の3つの棚卸表を例に、特徴や違いを解説します。
用途別の違い①在庫の棚卸表
在庫の棚卸表において、もっとも重要になるのは、数量の把握です。
そのため、棚卸表には必ず数量の記入欄を設けます。商品・製品ごとに在庫数量がいくつあるか記入し、棚卸資産の在高を正確に算出するためです。
算出後のデータは、決算(確定申告)に反映されます。
在庫管理システムに備え付けの帳票を使ったり、エクセルなどの表計算ツールで作成したりすることが一般的です。
用途別の違い②固定資産の棚卸表
固定資産の棚卸表で重要になるのは、資産の所在と状態です。
そのため、棚卸表上も、資産の設置場所や稼働状況が分かるようにしておくことが望ましいでしょう。棚卸表に所在情報の記入欄を設けるか、所在単位に分けて表を作成する場合が多く見られます。
エクセルなどの表計算ツールで作成するのが一般的ですが、管理システムの導入によって省力化に励む企業も増えています。
私たちが開発・提供しているConvi.BASE(コンビベース)も、実地棚卸を半自動化できるクラウドツールです。1,100社以上の導入実績があるので安心してご利用いただけます。
用途別の違い③工具・鍵など備品の棚卸表
備品は、対象物によって重要項目が変わります。
たとえば工具や鍵の場合、所在情報(特に、持ち出し後に返却されているか)が重要です。一方、消耗品や貯蔵品などの場合には、在庫切れを避けることが重要となるため、数量の記入欄が必要になります。
実地棚卸を行う目的は何なのか整理した上で、どのような項目を設けるべきか判断するようにしましょう。
たとえば以下の不動産会社では、鍵の所在情報(どこにあるか、誰が持ち出しているか)の管理を目的として棚卸しを実施しています。
どのような項目を用意すればよいか分からない方は、私たちが開発・提供している棚卸しツールConvi.BASE(コンビベース)の導入事例を参考にしてみてください。
エクセルで棚卸表を作成できる?
棚卸表はフォーマットを問いません。手書きで作ってもシステムを利用しても構いませんが、お手軽に作成できるのはエクセルなどの表計算ソフトを利用した方法でしょう。
手書きの棚卸表をエクセルに変えるだけで、物品の数量・価格をもとに自動集計できるようになります。システム化に躊躇している組織は、まずはエクセルで棚卸表を作成し、効率化を図ることをおすすめします。
会計システム・ERPによっては棚卸の帳簿機能あり
利用している会計システムやERPによっては、棚卸表の機能を備えている場合があります。
現在の環境で棚卸表の機能を使える状態でなくても、オプション機能として用意されている場合があります。システムの仕様やプランを確認してみるのもよいでしょう。
棚卸表のリストの作成時期や準備期間
実地棚卸の最中に使用する書類となるため、実地棚卸の実施前までに作業人数分を準備する必要があります。
対象資産物品の数が多い場合、事前準備にもかなりの時間が必要になることを心得ましょう。
なお、棚卸しの実施時期や回数は、組織によって異なります。基本的には例年通りに実施することになるので、自社の前年の実施状況を確認して準備に取り掛かりましょう。
実地棚卸の実施時期と実施回数
棚卸しの実施時期・回数には、法令による定めがありません。
ただし一般的には、棚卸し結果をもとに決算書を作成する都合上、決算日の1か月前から1週間前までに実施されるケースが多く見られます。
また、固定資産の実地棚卸は、償却資産税の納税時期が1月1日であることから、12月上旬に実施する企業も多いでしょう。
棚卸表をエクセルで作成する方法
ここからは、棚卸表の作成方法について解説します。まずは下記の2ステップを頭に入れておきましょう。
- 管理対象物の種類を明確にする
- 記入項目を洗い出す
1.管理対象物に合わせた帳簿のフォーマットを定める
棚卸表は、管理対象物によっては内容構成やフォーマットを変更したほうが断然使いやすくなります。
- 固定資産用
- 備品用
- 消耗品用
- 在庫用
いずれの種類の棚卸表を作ろうとしているのか、用途を明確にしましょう。
ここでは、固定資産や備品の管理に利用できる一般的な棚卸表を例に解説します。
2.帳簿の記入項目を洗い出す
管理のテーマ別に、自社の棚卸しに必要な記入項目を設定しましょう。以下①から⑦までの具体例を参考に、管理項目を定めてみましょう。
なお、固定資産やリース品の棚卸表を作成する場合には、⑥や⑦を参考に、必要に応じて項目を増やして運用してください。
①物品・備品の基本情報(例)
- 管理番号・ID
- 資産名・品名
- 資産種別・物品種別
- シリアルナンバー
②所在・管理責任に関する項目(例)
- オフィス名・建物名
- フロア
- 設置部屋・設置場所
- 管理部門・担当者
③物品取得時の情報(例)
- 取得年月日・購入日
- 取得先・購入先・メーカー名
- 取得価格・購入単価
④利用に関する項目(例)
- 利用部門・利用者
- 利用状況
- 保証期間
⑤棚卸しに関する項目(例)
- 棚卸しの要否
- 棚卸しの最終実行日
- 棚卸し数
- 最終実行日との差、期首との差
⑤固定資産管理上の項目(例)
- 資産科目
- 耐用年数
- その他の資産管理上の備考
⑥リース品の管理項目(例)
- リース企業名
- 契約番号
- リース開始日
- リース期間・月数
リストの形式について
棚卸表の形式にはとくに定めがないため、表の形式は自由に設定できます。自社が管理しやすい棚卸表のフォーマットを見つけて作成しましょう。
特段のこだわりがない場合や初心者で構成方法がわからない場合には、雛形やテンプレートを利用すると楽に表作成できます。
棚卸表のテンプレート紹介【ダウンロード可能】
ここまで読んでいただいた皆さんに、いますぐ使える棚卸表のテンプレートを紹介します。
棚卸しの対象別に定番の書式をセレクトしています。参考にしてみてください。
①在庫の棚卸表の雛形
- 商品別在庫管理テンプレート(Excel形式・無料)(Oracle)
クラウドERPを提供するオラクル社のテンプレートです。製品のバーコード、ブランドコード、アイテムコード、色コード、サイズコードなど、在庫管理に必要な項目はあらかじめ一通りそろえられています。
セルフカスタマイズも可能なので、ダウンロード後にはぜひ、自社の棚卸しに必要な記入項目を追加したり、使いやすく改変したりしてみましょう。
②固定資産の棚卸表の雛形
- 棚卸表 1から30まで PDF 無料(ビズオーシャン)
固定資産の棚卸しに利用できる棚卸表です。一度、実際に棚卸しの際に利用することで、項目の要・不要など、自社に適した形式がわかるかと思います。
こちらの情報をもとに、Excelフォーマットを作成してもよいでしょう。
③備品や工具の棚卸表の雛形
- 棚卸管理表 (備品)(Microsoft)
マイクロソフト社が提供しているシンプルなデザインの雛形です。使いやすい基本の型で、あらゆる種類の備品管理に対応できます。
スキャンで棚卸しできる!棚卸表いらずのコンビベースとは?
棚卸し業務を自動化することができるクラウドシステムConvi.BASE(コンビベース)についてご紹介します。
これまで当たり前だった「リストを片手に目視確認」は必要ありません。
お手持ちのスマートフォンやハンディスキャナーでQRコードやICタグをスキャンするだけで作業は完了します。
システム側が自動で照合作業を実行してくれるので、棚卸表とのにらめっこは必要ありません。
もちろん、各担当者がスキャンした結果はクラウド台帳に登録されるので、後から棚卸し結果を確認したい時にも安心です。
棚卸表はエクセルではなく専用システムで!
使いやすい棚卸表がなければ、組織内にどのような物品があるのか、従業員は把握することができません。
物品を探し出すのに時間がかかったり、使いたい時に使える状態になっていないことがあるのなら、ぜひ一度、物品管理システムの導入を検討してみてください。
製品のご案内資料・無料プレゼント
エクセルでは実現することのできないConvi.BASE(コンビベース)ならではの機能は、そのほかにもたくさんあります。
すべての機能や、導入事例、導入効果を知りたい方向けに、ご案内資料を無料でお配りしております。
- 「自社と同じ業種・規模の事例を読みたい」
- 「デモンストレーションで使い方をもっと知りたい」
- 「想定している運用が可能かどうか知りたい」
- 「使用中のシステムとの連携可否をチェックしたい」
- 「今すぐ見積もってほしい」
任意の「ご質問・ご要望」欄に、例のようにご入力いただきましたら、担当者が必要な情報を収集しまして後日お知らせいたします。
お気軽にぜひ、以下のフォームに必要事項をご記入ください。
【注意】棚卸資産の棚卸表は決算(確定申告)にも必要です
帳簿書類の取り扱いは法令による定めがあります。棚卸資産の棚卸表を用いる場合には、帳簿作成書類のひとつとして適切な管理が求められます。
棚卸表をもとに棚卸資産の額を算出し、企業の利益や税金を計算するため、決算にも必要です。申告後の取り扱い(保存期間)についても決まりがあるので遵守しましょう。
棚卸表の保存期間は7年
法人税法 No.5930「帳簿書類等の保存期間及び保存方法」において下記の定めがあります。管理部署や担当者を決め、保存期間を守り、適切に管理しましょう。
- 青色申告:その事業年度の確定申告書提出期限の翌日から7年
- 白色申告:その事業年度の確定申告書提出期限の翌日から5年
棚卸表を電子保存する場合
エクセルなどの表計算ソフトを利用して作成した電子上の棚卸表を、クラウド上で管理する場合、その保管方法にはいくつかの条件が定められています。
国税庁のウェブサイトで電子帳簿保存法について詳しく解説されているので、保存時の要件などを確認しておくようにしましょう。
固定資産管理・棚卸しを効率化したいとお考えの方へ
限定資料公開中!棚卸し効率化ガイドブックを無料プレゼント実施しています!ぜひお役立てください!