オフィスで日々作成されているさまざまな文書。こうした文書の管理に頭を抱えている方は多いのではないでしょうか。
ビジネスをするうえで発生する文書は、ルールにもとづいて正確に分類し保管すれば、有効に活用できるものです。しかしそれには、膨大な手間や時間がかかってしまいます。
この記事では、まず文書管理を正確に実施するための具体的な方法を、次に文書管理にかかる手間を最小限にしてくれるシステムおよびその活用事例について紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
目次
文書管理とは
文書管理とは、組織や個人にとって重要な文書を、適切な方法で管理すること。おもに会計や法務、税務などの観点で重要な文書を保管し、必要に応じて変更したり参照したりするための仕組みです。文書を適切に管理し保管することは、企業などの組織を守る条件でもあるため、文書管理の重要性は高いといえます。
文書管理は、保管場所や台帳を整備したうえで、適切な管理責任者を配置し、ルールに基づいて運用する必要があります。管理責任者がいなかったり、適切なルールや保管場所が決められていないと、重要な文書を紛失してしまったり、必要な文書を探し出すのに時間がかかったりして非常に非効率です。
人は年間150時間もの時間をものを探すことに費やしているといわれています。近年では、組織の生産性を上げるという観点からも、こういった「何も生産していない時間」を減らすためのサービスに注目が集まっています。
必要な文書を瞬時に取り出せるよう整備し、組織的に文書の内容や状況を共有することで、文書管理を担う担当部門の生産性の向上が期待できます。
文書管理の対象となる文書
以下のような文書は、社内で適切に保管し必要なときにはすぐに参照できるよう管理する必要があり、文書管理の対象となります。
【営業】
見積書、納品書、請求書など
【経理】
契約書、領収書、現金出納帳など
【人事】
履歴書、雇用契約書、出勤簿、給与台帳、就業規則など
【総務】
株主総会議事録・総会議事録の謄本、備品台帳、刊行物など
【製造】
技術文書、図面、設計書など
また、以下のような書類を「法定保存文書」と呼び、法令で所定期間の保存が義務付けられています。文書が適切に保存されていないと罰則が適用される場合もあるので、適切な文書管理が求められます。
●永久保存する法定保存文書
定款
株主名簿
登記・訴訟関係書類
知的所有権に関する関係書類など
●長期保管する法定保存文書(6~10年)
株主総会議事録
取締役会議事録
決算書(計算書類)
総勘定元帳などの会計帳簿
取引に関する帳簿・書類など
●保存期間が5年以下の法定保存文書
従業員の身元保証書
健康診断個人票
労働者名簿
雇入れ・解雇・退職に関する書類
社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関する書類など
文書管理の方法
では、これらの文書を適切に管理するには、どのような方法をとればよいのでしょうか。まずは前提知識として、文書のライフサイクルについて知っておきましょう。
◆文書のライフサイクルとは?
文書のライフサイクルとは、文書が発生してから廃棄されるまでの「流れ」のことで、文書が置かれている状態を、段階別で分類したものです。

1.発生
社内で新規に文書を作成する、あるいは社外から文書を受け取るプロセス
2.活用
発生した文書を、通達や契約などのために閲覧したり変更したりするプロセス
3.保管
今後も「活用」する見込みが高い文書を活用しやすい状態で保管しておくプロセス
4.保存
「活用」しなくなった文書を、保存が必要な期間、書庫に保存しておくプロセス
5.廃棄
保存が必要な期間を終えた文書を処分するプロセス
文書のライフサイクルを理解する上で注意すべきなのは、次の2点です。
1つめは、文書の種類により活用頻度や保管の期間がまったく異なるということ。このため、文書に触れる担当者は、文書ごとの特性をよく理解しておく必要があります。
2つめは、「保管」と「保存」の分類です。これが正確にできないと、「保管」文書が溜まってしまい、目的の文書を探すのに多くの時間がかかってしまいます。どこまでを「保管」に分類し、どこからを「保存」に分類するか、明確なルールを決め、組織的に実施することが求められます。
◆文書管理の具体的な手順
以下に、実際に文書管理を実施する手順を解説します。
1.文書の分類方法を決める
まずは、文書の分類方法を決めます。分類方法とは、何にもとづいて分類するか、またその優先順位のことです。
たとえば、「まず文書のライフサイクルごとに分類、その下層区分で文書の担当部門により分類、さらにその下層区分で発行年月により分類」「まず文書の発行支店ごとに分類、その下層区分で文書の種類により分類、さらにその下層区分で文書名の頭文字により分類、最下層でライフサイクルにより分類」などです。
扱う文書の種類や数量、拠点数などによって、最適な分類方法は異なります。最も効率的な分類方法はどういう形か、文書に触れるスタッフから意見を聞きながら決めていきましょう。
2.文書管理台帳の整備
次に、膨大な量の文書の状態や保管場所、保管期限などのデータを一括してまとめた「文書管理台帳」を作成します。
文書管理台帳には、1で決めた各階層ごとの分類カテゴリを入力する項目を設けてください。そうすることで、台帳を見れば、文書がどこに収納されているかひと目で分かるようになります。
加えて、文書名や発行日、保管期間・保存期限など、必要に応じて入力項目を追加していきます。文書の貸出しや閲覧、返却が発生する場合には、「誰に閲覧権限があるか」「いつ誰が借りたか」「いつ返却予定か」などの情報入力欄も設けておくと便利です。
3.文書収納場所の整備
文書は1か所にあつめて収納するのが望ましいです。分散して収納してしまうと、管理するにも探すにも余計な手間がかかるからです。やむを得ず分散して収納しなければならない場合は、1で決めた分類のうち、できる限り上位の階層で収納場所を分けるようにしましょう。
収納場所が決まったら、実際に文書を格納するキャビネットと文書フォルダを用意します。1で決めた分類方法にもとづき、キャビネットや文書フォルダを分け、見出しとなるラベルを付けます。
保管期限を満了したときに廃棄・管理しやすくするため、背表紙にはファイリングした日付を明記しておきましょう。
4.文書の格納
該当する場所に文書を格納しましょう。同じフォルダ内に複数の文書を格納する場合は、五十音順や発行日順などで見出しをつけ、順番通りに並べます。
ここまで読んでいただくと分かる通り、文書管理を実施するには、多くの手間と時間がかかります。特に、文書の収納や移動は肉体労働を伴う作業になるので、スタッフの負担はとても大きくなります。
文書管理システムとは?
ここまで説明してきた文書管理の作業をシステム化し自動化するツールのことを、一般的に「文書管理システム」とよびます。文書管理システムのうち、PCにインストールして使用するソフトウェア型のものは、「文書管理ソフト」ともよばれます。
一般的な文書管理システムは、
- 文書をデータベースに登録する機能
- 登録文書をキーワードで検索する機能
- 登録したファイルを自動でPDFに変換する機能
- 関連資料を登録する機能
- 審査・承認を行う電子決裁・審査・承認機能
- スマートフォンなどでも閲覧できるマルチデバイス機能
- 文書の閲覧や削除を監視するセキュリティ機能
などを備えています。
こうした文書管理システムを使うことで、オフィスで使う文書や資料をデータ化・ペーパーレス化することができます。データ化することで、ネットワーク上で共有や検索、閲覧などが可能になります。また、文書原本の持ち出しや返却を厳密に管理できるようになるので、セキュリティの強化にも寄与します。
◆クラウド型文書管理システムとは?
クラウド型文書管理システムとは、クラウドを使った文書管理の仕組みのことです。非クラウド型の文書管理システムでは、各ユーザーはそれぞれのPCの保存領域でデータの作成や編集・保存を行います。一方、クラウド型の文書管理システムでは、各ユーザーのPC内の保存領域ではなく、ネットワーク上でデータを作成・編集・保存します。そのため、いつでも、どこにいても、リアルタイムで最新の文書データや文書原本のステータスを確認できます。
現在ではPCやスマートフォンから利用できる文書管理システムのほとんどが、クラウドを用いた機能を備えています。
◆クラウド型文書管理システムで効率化できないこと
文書をデータ化し、誰でも、いつでも、どこでも、必要な文書を閲覧できるようになれば便利ですよね。しかし、欠点もあります。
クラウド型文書管理システムの多くは、データ化後の文書を管理することに主眼を置いています。従って、文書「原本」の「所在」や「廃棄期限」などの管理は、別途個別に行う必要があるのです。文書「原本」の管理にかかる手間や時間は決して少なくないので、原本管理ための負担は残ってしまうことが多いのです。
文書管理システムの導入は、すぐに必要な文書を参照したい経営層や営業担当者には大きなメリットとなりますが、文書「原本」を管理する担当者にとっては、結局、管理の負担が残ってしまうということです。
では、文書原本の管理コストを削減したい場合にはどうしたら良いのでしょう。その課題にこたえるため、弊社では、物品管理システムによる文書管理を提案しています。
◆現物管理システムで文書原本を管理する
文書「原本」の管理を効率化するためにおすすめしたいのが、物品管理システムを用いた文書管理です。物品管理システムというのは、物品現物の管理を目的としているツールで、社内の什器、備品、IT機器などを管理するために用いられています。
物品管理システムを用いた文書管理には、以下の4つの特長があります。
- 台帳と文書原本を正しく紐付け
文書に書類管理用のICタグやバーコードを貼付することで、台帳と文書を正しく紐付けることができます。台帳の精度が上がり保管棚の情報が明確になるので、文書を探す時間と手間を省くことができます。
- ICタグやバーコードを読み取って正確にステータスを記録
従来の手入力による管理台帳では、手間がかかる上に、入力漏れや入力ミスなどが起きがちでした。ICタグやバーコードを貼付し、読み取ることで、「いつ」「どこで」「誰が」文書原本を作成、持ち出し、返却、移動、廃棄したか、を手入力することなく記録することができます。
- アラートメールで期限管理
保守契約書などでは「更新期間がいつの間にか過ぎていた」などといったトラブルが起きがちです。クラウドで契約書情報を保管すれば契約更新日を自動で通知するアラートメールを設定できるので、更新漏れなどのミスを防ぐことができます。
- PDFデータを添付することで文書の参照もスムーズに
原本のPDFファイルとデータを紐付けて管理することで、一般的な文書管理システムに近い使い方 ――たとえば、営業担当者が契約内容を確認するため、移動中にスマートフォンで契約書の内容を参照する――といった使い方も可能です。
このように、物品管理システムを使えば、文書原本の管理にかかる負担を劇的に減らすことができるのです。
弊社が提供している物品管理クラウドサービス「Convi.BASE(コンビベース)」では、管理項目をユーザが自由に設定できるので、運用に合わせた台帳を作成することができます。スマートフォンアプリを使った文書原本の棚卸しや貸出し、入出庫管理も可能です。
◆文書原本にラベルを貼れない時の管理方法
物品管理システムを利用する場合には、管理したい対象物に「管理ラベルを貼付し、台帳と物品を紐づける」ことが重要なポイントとなります。
しかし、文書原本の管理にあたっては、書類に直接管理ラベルを貼ることが難しいことがあります。そんなとき、どのように管理・運用をしていけばいいのでしょうか。
文書原本に直接管理ラベルを貼れない場合は、
- 管理ラベルを貼ったクリアファイルに文書を入れて保管する
- ラベルを貼ったポストイットを文書に貼り、管理する
- 文書を格納する文書箱にラベルを貼り、管理する
といった方法が最適です。
この方法であれば、紙に直接ラベルを貼らずに管理することができます。管理ラベルには、ICタグをつけることもできるので、ICタグを読み取ることによって、文書のステータスを自動で管理することも可能です。ICタグであれば複数一括で読み取りができ、効率的な棚卸しを行うことができます。
導入事例で知る クラウド型文書管理システム VS 物品管理システム
最後に、クラウド型文書管理システムと物品現物管理システム、それぞれの実際の導入事例を観察しつつ、文書管理にどのようなインパクトを与えたかを比較します。
これを読むことで、クラウド型文書管理システムと物品管理システム、どちらがあなたの課題を解決してくれるか見極めることができます。
【事例1】上智大学(クラウド型文書管理システムを導入)
大塚商会は、文書管理システムの導入事例として、上智大学の例を紹介しています。同大学では、卒業生の学籍原簿や各種証明書が紙文書で保管されており、紛失リスクが課題となっていました。そこで、文書管理システム「FilingStars」を導入したところ、電子化した書類データをFilingStarsで管理できるようになったため、探している書類を迅速に閲覧できるようになったということです。
【事例2】滋賀銀行(クラウド型文書管理システムを導入)
富士通は、文書管理・ワークフローシステムの導入事例として滋賀銀行の例を紹介しています。同行は、文書のデータ化に取り組んではいたものの、業務改善に生かせていないことが課題となっていました。そこで、文書管理・ワークフローシステム「Documal(ドキュマル)」を導入したところ、文書データの一元管理のほか、ウェブブラウザでの検索や閲覧などができるようになったといいます。また、文書改訂の承認などの操作がスムーズになったそうで、管理業務の効率化と利用者の利便性向上の両方に寄与していることが分かります。
【事例3】日本漢字能力検定協会(物品管理システムを導入)
物品管理システムの導入事例としては、日本漢字能力検定協会のコンビベースの導入例があります。同協会は、個人情報が含まれた膨大な数の書類の廃棄管理が課題となっていました。そこで、コンビベースを活用することに。重要書類を入れた段ボールにシールを貼付することで、シールのバーコードを読み取るだけで重要書類の移動や廃棄などの情報を管理することができるようになりました。
以上、3つの導入事例から分かることは、クラウド型文書管理システムは、文書の検索や閲覧、場合によっては改訂など、文書の実用的な利用を効率化するということ。
一方、物品管理システムでは、文書の物理的な移動や廃棄を正確に管理することができるということなので、法令上あるいは慣例上、保管が求められる重要文書の物理的管理を効率化する、ということが言えそうです。
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