会社の資産管理を固定資産台帳だけで行うことには、大きなリスクが伴います。固定資産台帳には、資産の「現物管理」を行う機能が備わっていないからです。
本記事では、固定資産台帳だけで組織の資産管理を行うことのリスクとデメリット、固定資産台帳と現物台帳の違い、現物台帳の作成方法について解説します。
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目次
固定資産台帳(固定資産管理台帳)とは?

固定資産台帳(固定資産管理台帳)とは、事業者が保有している土地や建物、車両、機械設備、備品などの固定資産の価額を正確に把握し、適切な固定資産税を算出するために用いる管理表です。税務申告においては、標準的に備えるべき帳票のひとつとされています。償却資産台帳と呼ばれる場合もあります。
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固定資産台帳の作成方法
固定資産台帳(固定資産管理台帳)に、法令等で定められた書式・様式はありません。事業者が自由に作成することができます。
作成方法としては、次の3つがあります。
- 基幹システム・会計ソフト・ERPなどに搭載された固定資産台帳を使用して作成
- エクセルなどの表計算ツールを使用して作成
- 手書きで作成
1の場合は、システムに搭載されている書式に準じて、保有している固定資産の情報を入力していけばOKです。
2および3の場合は、情報入力の前に、台帳の書式を作成します。書式といっても、各列に「資産名称」「取得年月日」「取得価額」「耐用年数」「勘定科目」などの項目見出しを設けた表を作成するだけでOK。以下に、設けるべき項目例を記載しておきます。
- 管理番号
0001、0002、0003…… と数字で順に記載するのが一般的です。同じ資産が複数ある場合や、複数の事業拠点がある場合には、「A0001」「H0078」のようにアルファベットと数字を組み合わせて管理番号を付与して判別できるようにしておくと分かりやすくなります。1桁目=大カテゴリ、2桁目=中カテゴリ、というように、桁ごとに分類ルールを決めて付番している会社もあります。
- 資産名称
固定資産の名称を記載します。誰が見ても分かるよう「車両 スズキ・アルト」「パナソニック製PC レッツノートSV7」など詳しく記した方が分かりやすいです。
- 勘定科目
「工具器具備品」「車両(車両運搬具)」「土地建物」「機械装置」など、各固定資産の勘定科目を入力しましょう。
- 取得年月日
固定資産を取得した年月日を記載します。
- 取得価額
固定資産を購入した額を記載します。
- 償却方法
償却方法(定額法か定率法)を記載します。
- 耐用年数
固定資産の耐用年数を記載します。固定資産ごとに法定耐用年数が定められているので、国税庁のサイトなどで確認し記載してください。
- 減価償却額
償却方法と償却率から計算された減価償却費を記載します。
- 摘要
備考欄として使用します。
ここで挙げた項目は、管理上最低限必要となるものです。必要に応じて項目を追加してみてください。
固定資産台帳に記載する項目については、総務省からも記載項目例が公表されています(「別紙2 固定資産台帳の記載項目の例」)。こちらも参考にしてみてください。
参考リンク:総務省「財務書類作成要領」及び「資産評価及び固定資産台帳整備の手引き」の公表について

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【要注意】固定資産台帳だけで会社の資産管理はできない!

注意すべきポイントとして、会社の資産管理を固定資産台帳だけで行うのはほぼ不可能、ということです。
固定資産台帳は、あくまで減価償却の計算や固定資産税の算出のために作成する帳票です。そのため、会社の資産を正確に把握・管理する目的で使用するには、ほとんどの場合、機能的に不十分と言えます。
特に、資産の現物管理ができないことは致命的です。
資産の現物管理とは、取得した資産物品が、実際にどこに保管され、どのように利用され、どんな状態にあるか、といった情報を管理することです。会社の資産を正確に把握・管理するためには、この現物管理が欠かせません。
現物管理をしていない場合、会社の資産管理上、次のようなリスクを抱えることになります。
資産の現物管理をしていない場合に直面し得るリスク
1. 不正の不透明化
取得した資産が、実際にどこに保管され、どのように利用されているかを正確に把握していない場合、経営陣または従業員が不正を行っていても、会社がそれを把握することが難しくなります。
たとえば、経営陣や従業員が、私用で使うつもりの資産物品を事業用と偽って会社の経費で購入し、横領してしまうケース。現物管理をしていない場合、このような不正が行われていても、株主や経営陣、従業員が把握することは困難です。
2. 経費の増大
資産の現物管理をしていない場合、資産物品の実際の利用状況を知ることができません。実は現場でほとんど使われていなかったり、数が多すぎて余っていたり、反対に少なすぎてリソースが逼迫したりしていても、それを把握することは難しくなります。
その結果、最適な資産取得がなされなくなってしまいます。
本来必要なものが足りず、必要ないものが余る、といった状況に陥っている企業の多くは、現物管理をしていない可能性が高いでしょう。こうしたミスマッチは、経費の増大を招きます。
3. 税金の増大
固定資産は、廃棄する際に除却処理を行うと帳簿残高を固定資産除却損として経費計上することができます。故障して使えなくなった物品や、紛失している物品がある場合、除却処理を行っておくことで、固定資産税を圧縮できる可能性があります。
しかし、現物管理をしていない場合、会計・税務の担当部門が、故障・破損や紛失をすべて把握することは困難でしょう。結果、本来なら必要のない税金を納めてしまっている可能性が高くなります。
また、会社として利益が出ている場合、適切なタイミングで消耗品や機械設備の購入に資金を投じることで、利益を圧縮し、納めるべき税金を小さくすることができます。これについても、現物管理をしていれば、利益の見込額に応じた適切な投資先はどこか、現物台帳を見て判断できるようになります。
以上、現物管理をしていない場合に直面し得るリスクについて説明しました。これらのリスクを避けるため、固定資産管理の担当者は、現物管理もカバーできる管理体制の整備に取り組んでみてください。

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固定資産の現物台帳(現物管理台帳)とは?
現物台帳(現物管理表)とは、組織の資産物品の保管場所や利用状況、状態、数量などの情報を把握するために用いる管理表のことです。組織によっては、物品台帳(物品管理表)や備品台帳(備品管理表)などと呼ばれる場合もあります。

固定資産をはじめ、備品・消耗品やオフィス什器、IT機器、重要文書原本、リース品、鍵、工具、社員証、部品や金型など、管理対象は多種多様ですが、これら資産物品のうち、特に固定資産物品の現物管理を行うための現物台帳を指して、「固定資産の現物台帳」といいます。
固定資産台帳と現物台帳の違いは?
固定資産台帳(固定資産管理台帳)と現物台帳(現物管理台帳)の違いを、以下の表にまとめました。
固定資産台帳 | 現物台帳 | |
---|---|---|
目的 | 減価償却の計算 固定資産税の算出 | 保管場所、状態、利用状況 数量、リースや返却の期限などの把握 |
管理対象 | 固定資産 | 固定資産、備品、消耗品、什器、IT機器 リース品、文書原本、鍵、工具 ほか |
管理する情報 | 取得価額、償却方法、 耐用年数、減価償却額 など | 保管場所(設置場所)、持ち出し・返却状況 メンテナンス・修繕記録、リース期限 など |
管理の単位 | 物品一式 | 物品1つずつ |
1. 目的の違い
固定資産台帳が減価償却の計算と固定資産税の算出を目的としている一方、現物台帳は物品の保管場所や状態、利用状況、数量、期限などの把握を目的としています。
2. 管理対象の違い
固定資産台帳は、「固定資産」に該当する資産のみを管理対象とします。
一方、現物台帳は、費用計上されている簿外資産も管理対象とする場合があります。
3. 管理する情報の違い
固定資産台帳では、減価償却の計算に必要となる情報を中心に管理します。
一方、現物台帳では、保管場所・設置場所などの「位置情報」や、持ち出し・返却状況など位置の「移動情報」、誰が使っているか(持ち出しているか)など「人に関する情報」、リース契約や保証などの「期間(期限)情報」などを扱います。
4. 管理の単位の違い
固定資産台帳では、同種の物品を複数取得した場合、一式まとめて記録することが多いです。減価償却の計算を行う上で、同じタイミングで複数購入した物品を、バラバラに管理する必要性は無いからです。
一方、現物台帳では、同種の物品を複数取得した場合でも、1つずつ個別に記録して管理します。保管場所や利用状況は1つずつ異なるためです。

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現物台帳(資産現物管理表)エクセルテンプレート
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